街角フェロモン

冬場の電車って、
座ってると足元ポカポカしてきて、
いい気持ちで眠くなってきちゃいますよね。

そんな時、ふと横を見ると、
隣に座ってる女の子までウトウトしちゃってたりして。

で、だんだん本気で眠りが深くなってきて、
とうとうこっちにもたれかかってくるあの状況、
雪見野は大好き。

おじさんとかおばさんは嫌だけど、
女の子にもたれかかられるのって大好き。

なんか頼りにされてるんだなぁ、
なんて、ちょっと幸せな気分になったりなんかして。

とか言いつつも、そういう時って、
女の子が寝ているのをいいことに、

「ブラジャー見えないかなぁ」

とか思って、胸元チェックしたり、
ミニスカートの子だったら、
太ももジロジロ見たりしてる自分がそこにいたりするんですよ。

だって、見知らぬ女の子がこんな近くで体預けてくるって事、
そうそうないんだも～ん。

おまけに、
髪の毛のいい匂いとかしてくるともうダメですね。

１分１秒でもずっとその子にもたれかかってほしいから、
ひたすら良い枕になりきる、と。


そのためには、
彼女と呼吸のリズム合わせたりなんかして、
もうすっかり一心同体。

たとえ自分の降りる駅が急行駅３つくらい過ぎたって、
彼女が自分の肩で熟睡してるのを見たら、
そりゃー降りられませんよ。

でもって、
よだれとか腕に垂らされたらちょっと嬉しいかもしれない。

「おおーっ、これも彼女の体液の一部～～～！」

って、マニア入っちゃったりなんかして。

そんなに熟睡してんなら、
次に期待するのは、さらなるもたれかかり。

もっともっと体傾けて、
こっちの股間まで倒れこんできてほしいですよね。

今日初めて会った女の子が、
早速自分の股間に顔をうずめるって状況いいですよね。

って、まずないでしょうけど…。

でも、ひとつ残念なのは、
もたれかかられてる時って意外と、
相手の顔が髪の毛で隠れてて、よく見えないことですよね。

やっぱり寝てるわけだから下を向いてるし、
髪の毛長い子だと、完全に顔の横に髪が垂れ下がって隠しちゃうし、
もっと嫌なのは、
その髪の毛の隙間からこっち見てる女の子。
たまに目があったりなんかして。

結局、もたれかかってくる女の子が、
かわいいか、そうでないかは、
彼女が降りる時にしか確認できないっていうのは、
少々ツライですよね。

かわいいと思って、
１時間くらい自分の降りる駅過ぎてまでもたれかからせても、
最後の最後に残念なお顔立ちじゃねぇ…。

って、その１時間も付き合うエネルギーをもっと、
“締め切り厳守”に向けろって雪見野さん…。


「コットンコミック」１９９９年１月号より


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